日本の南部、四国にある高知県は、太平洋に面しており、昔からかつお漁で有名だ。タイの日本料理店でも人気の「かつおのたたき」も高知県の名物料理だ。
その高知県から、驚きのグロテスクなキャラクターが登場し、インターネットで人気を集めている。カツオ人間は、切断されたカツオの頭部と、人間の胴体が合体した姿。後頭部は、赤身の断面という衝撃のデザインだ。あまりに可笑しな姿がネットで広まった。
そして、ついに東京・銀座にある高知県直営のアンテナショップ「まるごと高知」の、「PR大使」に任命された。このショップの前では、大勢の人たちが何かを待っている。「来たー!」「かわいい!」と一斉に歓声が上がる。皆が携帯電話のカメラを向けたのは、店に現れたカツオ人間だ。
体は正面を向いているが、頭は左向きに付いているのが不気味だ。目は死んだ魚のようで、よく見ると怖い。そして、ちょっと右を向けば、後頭部から赤い肉と骨の断面が見えている。夢に出てきそうなグロテスクなデザインだ。ところが、足は短く、ちょこちょこと懸命に歩く。そしてファンには、礼儀正しくお辞儀する。その真摯な態度に、ファンになる人が急増している。
カツオ人間のプロフィールによると、出身は高知県の沖合い。「生年月日はおぼえてないが、酒は飲める歳である」としている。「趣味はサーフィンと、カツオ釣りです」とのこと。好物は、軍鶏鍋。
大人気になっているカツオ人間だが、実は2007年に高知市の老舗菓子メーカー「山西,金陵堂」(やまにしこんりゅうどう)が作ったキャラクターだ。「流行に左右されない、高知の色が出せる独自のキャラクターを目指しました。人によって好き嫌いはあるかもしれませんが・・」と同社の山西社長は語る。
誕生から4年で「まるごと高知」のPR大使にまで出世したカツオ人間。現在はTwitterを使って情報発信している。東京観光している写真を投稿したり、東京タワーのマスコットキャラクター、ノッポン兄弟を訪ねたりと精力的に活動している。
カツオ人間をPR大使に任命した高知県の尾崎正直(なおゆき・おざき)知事は、「予想以上にがんばってくれている。感謝しています」と、カツオ人間の活躍を喜んだ。
ただ、カツオ人間の東京PR大使の任期は、8月31日まで。その後は、高知県の沖合いに帰ってしまうとのことだ。太平洋を泳いで渡って、次はタイにも来て欲しいですか?