タイでは日本のことを「イープン」と発音しますね。英語では「ジャパン」、フランス語などでは「ジャポン」、中国語では「リーベン」と発音します。しかし日本人は「にほん」あるいは「にっぽん」と発音します。これが正式な発音なのです。「にほん」と「にっぽん」は、どちらでも構いません。では「にっぽん」とはどういう意味なのでしょうか。それは、「日の昇る国」という意味です。漢字では「日本」と書きます。
話は1350年前、7世紀中頃に遡ります。その頃、日本にはまだ統一国家がありませんでした。いくつかの有力な集団があっただけです。その中で一番強い集団は「ヤマト」という名前でした。
「ヤマト」の隣の朝鮮半島には、「ヤマト」と友好関係にあった「百済」という国がありました。そこが中国にあった「唐」と朝鮮半島にあった「新羅」から攻められていたのです。そこで「ヤマト」は、「百済」を助けるため、一緒に唐・新羅連合軍と戦いました。西暦663年8月のことです。この戦争は「はくすきのえのたたかい」と呼ばれます。この戦いで「ヤマト」と「百済」の連合軍は、唐・新羅連合軍に負けてしまいました。
唐・新羅連合軍に負けたヤマトは、将来再び負けないために、正式で、強い国家を作らなければならないと考えました。そして日本を統一し、西暦701年に国名を「ヤマト」と決めたのです。
このとき、日本は中国との外交をするために、漢字で「ヤマト」を「日本」と書きました。「日本」は昔は「ヤマト」と読んだのです。
この「日本」という漢字は、中国から見て、「日の昇る国」という意味なのです。「ヤマト」の人たちは、大国である中国との関係を重視していました。そこで中国人にとって分かりやすいように、「中国の東にあって、日が昇る国である」との意味を込めて、「日本」という漢字を使ったのです。
それでは、いつから「日本」が、「ヤマト」ではなく、「にほん」あるいは「にっぽん」と読まれるようになったのでしょうか。それは定かではありません。平安時代(西暦794年-1194年)の頃と考えられますが、確実に信用できる記録が残っていません。
ただ、中国人は「日本」をいう字を見て、「ヤマト」とは読めません。中国語では「リップン」あるいは「ニェッベン」などと読みます。これは「「にほん」「にっぽん」と近いので、中国語の読み方が広がったのでしょう。さらに西洋に「ジパン」「ジャパン」と訛って伝わったようです。
タイで日本のことを「イープン」と呼びますが、これは中国から伝わったのでしょう。この「イープン」という呼び方は、昔の呼び方に近いのかもしれません。歴史って面白いですね。
ちなみに、沖縄では今でも本土の人のことを「ヤマトンチュウ」と呼びます。