アパレルの供給地として、世界的に中国が群を抜き、日本のアパレル業界にとっても輸入品の大部分は中国で委託製造したり買い付けたものです。しかし、中国の物価上昇に加えて、最近は日中間の政治的な問題も持ち上がり、日本のアパレル業界では中国リスクを分散するため、仕入れ先の多様化に注力しています。実際にベトナム、インドネシア、バングラディシュからの輸入は増えていますが、それらはアパレルメーカーや大手の小売業者が独自に現地生産したものが主です。現地の市場には日本で通用するデザインの既製品は少なく、買い付け中心に行っているショップや地方の独立系百貨店は中国と韓国に依存せざるを得ません。それでも最低ロットが大きく、結局は卸し業者からの購入が多くなり、独自色が出しにくいのが現状でしょう。
それではアジアにおいて、中国、韓国以外に既製品市場が発達しているのはどこかと言えば、他にはタイだけです。タイは常夏ということもあり特に春夏物のアパレルが強く、ファッションセンスも品質も世界的に通用するレベルまで向上しています。価格も現在は中国並みで、今後は中国の物価がまだ上昇するようですと、タイの方が安くなるでしょう。バイヤーは世界中から訪れています。西はヨーロッパ、アフリカ、中東から、アジアではフィリピン、マレーシアなどからの買い付けが多いようです。
タイ市場の魅力をまとめると以下の通りです。
タイは1990年代の後半から社会がオープンになり、所得も向上したことから女性のファッションが著しく発達しました。また、ファッション業界も、中国やベトナムに負けないよう、独自色を出すことに努めました。それが常夏の環境を生かして、春夏物で世界市場を狙うことです。これが成功して、春夏物のアパレルでは、世界的な流行をいち早く取り入れた既製服が市場に出回ります。
タイは化学繊維の生産能力が、世界のガリバーである中国の10分の1ほどあります。これは相当な規模です。主に日系の化繊メーカーが生産しており、品質が良く、高機能で、最先端の繊維といえます。タイでは化繊では最高のマテリアルが手に入るのです。綿製品についても、デニムの布を生産しています。
タイ人は仕事のスピードは遅いのですが、丁寧な仕事をします。このため縫製は、平均的にみて中国より上です。近年は地方の工場でラオス人やミャンマー人を使ってるところも多いのですが、それらの国の人々もタイと性格が似ており、縫製の品質は高いでしょう。
タイも物価、賃金とも上昇していますが、縫製品の価格は中国と同程度です。今後、中国の物価上昇は必至ですので、将来的にはタイの方が安くなるかもしれません。
タイで最もファッションセンスの良いプラトゥーナム市場では、3枚から卸売価格になります。例えば、1枚なら750円のところ、3枚以上は450円となります。しかし100枚買っても400円くらいまでにしか下がりません。これはプラトゥーナムの得意客の多くが、屋台や個人ショップのためです。色や形の違う服を3−5枚ずつ、20種類ほど買っていって、ショップにならべて販売しているのです。これは日本の小規模バイヤーにとっても、多品種少量の買い付けができるので、とても魅力的なはずです。
タイ人は大らかな気質で、のんびりしており、また人懐っこいので、日本人のバイヤーにとっては気楽です。店員の対応は良く、ストレスになりません。また、市場は良く清掃されており、ゴミなどを捨てる人はいません。買い付け以外でも、街は比較的きれいで、タクシーは多く、市内鉄道も使えます。ホテルや食事のコストパフォーマンスは良く、日本料理店も充実しています。
外国人バイヤーが多いため、ショップの店員は売買のための英語が話せます。色やサイズ、在庫、納期、価格などの交渉、オーダーは問題なくできます。ただし、込み入った話になると、対応できる店は限られてきます。
これだけ良いとこ尽くめのプラトゥーナム市場ですが、日本からの買い付けは、日本の市場規模から比べると、非常に少ないと言えます。日本最大規模の卸売り会社がバンコクに買い付け拠点を設けていますが、そういったケースは稀です。どうして日本のバイヤーはタイであまり仕入れないのでしょうか。その理由は、納期が守られず、クオリティーコントロールも大変難しいからです。これまで多くの日本人バイヤーは、タイでの仕入れを試み、痛い目に合っているのです。せっかく良い商品が提供されているのに、手を出せないでいるのが現状です。
今でこそ中国は世界最大のアパレル拠点であり、日本の要求に応えられるサプライヤーが育っています。そこに至まで、日本のバイヤーは苦労を重ねながら、中国のサプライヤーを育ててきたと言えるでしょう。中国のアパレル生産拠点は広州で、中国の中では南方です。この南部の大らかな気質は、紀元前の歴史家、司馬遷の史記においても明記されているほどです。正確さや忍耐が求められるクオリティーコントロールにおいて、中国では最も難しい地域かもしれません。
一方、タイは、広州よりもさらに南にあり、大らかさの度合いはさらに増します。日本人が自社工場を持って、しっかりとしたQCを行えばうまく出来るのですが、独立したサプライヤーをビジネスをしながら育てていくのは相当に困難でしょう。また、タイは東南アジアのアパレル拠点で、アフリカ、中東、東南アジアといった、やはり大らかな人たちの市場からバイヤーが来ますので、無理して日本の厳しい品質、納期要求に応える必要もないという開き直った態度も見受けられます。
では、日本のバイヤーにとってタイの問題とは何でしょうか。それは以下の通りです。
納期に関しては、市場で10ー30枚ずつくらい購入するには問題ありません。その場で入手できます。しかし100枚単位になりますと、オーダーメードになりますので、納期の問題が出てきます。普通はオーダーすると、2-3週間で納品できると返答を受けます。ところが、納期が守られることはまずありません。2週間遅れは当たり前で、1か月ということもあります。これは店によりますが、納期は3週間くらい遅れると見込んでいた方が間違いありません。
タイではマテリアルや生産国を表示する洗濯タグをつける必要がありません。デパートでも、「タイ製」のタグをつけると高額で販売できないので、輸出品の国内販売では、わざわざ切り取ってあるブランドがあるほどです。また、東南アジアやアフリカなどでも付けなくても良いようです。日本は洗濯タグが付いていないと販売できませんので、プラトゥーナム市場では、洗濯タグを付けるように依頼しなければなりません。ところが、納品された製品に洗濯タグが付いてないことが多いのです。きちんと言ったにもかかわらず、付いていないのです。何百枚と日本で受け取った後に発覚すると、いちいち取り付けなければならず、大変なコストになってしまいます。経験的に2−3割もの割合で付け忘れがあります。
アフリカや東南アジアでは気にしないで購入されるレベルの不良品が1−3%ほど発生します。それらはちょっとした汚れ、破れ、プリントの滲みなどです。日本では販売が難しいか、あるいはB級品としてディスカウントの対象になるようなものです。これらはあまり多い場合は返品しますが、3%程度をあらかじめ価格転嫁しておくのが無難かもしれません。
納品直前になって、材料がないので全部は作れないというキャンセルが頻発します。例えばあるドレスを、赤100枚、白100枚、青100枚、黄色100枚とオーダーすると、店員はその場で工場に電話で在庫を確認します。大抵の場合は、在庫があるので大丈夫、との返答です。ところが、納品直前になって、青は50枚、白は20枚しか作れない、と連絡が入ることがしばしばあります。これは工場や布の卸業者が、後から入った大口注文を優先するためとの見方もありますが、定かではありません。何れにしても、注文した小売店にとっては、当初予定していた品揃えが出来ず、ビジネスチャンスを失うことになります。
タイでは日本人にとって、予想を超えた問題が発生することがあります。弊社の経験ではこういうことがありました。スカートを800枚注文した時のことです。注文したときは何も問題がなかったのですが、納品された製品にはあるブランド名がプリントされていました。800枚のスカート全てにでした。これがもし、日本に送られていたら、販売できずに廃棄しなければなりません。そうなっても店側は、既に送ったのだからと料金を返却しないでしょう。かといって日本から製品を返却するのも運送コストがかかります。納品の時にチェックできなかったら大変なコストが発生していました。
おかしなケースでは、洗濯タグが製品の表に縫い付けてあったことがありました。これも、日本に直接送られていたら、それを切り取って、内側に縫い直さなければならず、コストがかかっていたでしょう。
このように魅力的ながら、バイヤーの方々にとっては重大な問題を抱えるプラトゥーナム市場を、日本へのサプライ拠点として活用していただくため、弊社では日本のバーヤーの皆様のため、次のような買い付け支援サービスをパッケージで提供しております。対応能力は月間5万枚で、現在(2013年4月17日)のところ3分の2が空いております。小規模ではありますが、中小の小売業者様向けに丁寧なサービスの提供に心がけております。
プラトゥーナム市場に同行し、ショップで質問やオーダーをします。プラトゥーナム市場は1キロ平方メートルほどの地域に13,000店舗のショップがあるとされます。そこをまるで迷路のようで、慣れていない方ですと、迷ったり、一度行ったショップがどこにあるのか探すのに時間がかかったりします。プラトゥーナム市場を短期間に効率よく回るためタイ語のできる弊社スタッフが2日間同行いたします。
弊社オフィスには、机と椅子、Wi-Fiがあります。買い付け期間中は、それらの設備をご自由に使っていただけます。また、タイの買い付けに不可欠な短期の就労許可を管轄の労働局から得ます。
プラトゥーナム市場のショップでオーダーして日本に帰国されたバイヤーの方に代わって、納期管理、商品の受け取り、支払いをいたします。また値札に商品番号、マテリアル、値段などを印刷いたします。
商品を受け取った後、弊社オフィスにて全品を検品いたします。検品によって、(A)問題なし、(B)補修可能、(C)販売は困難の3種類に分けます。(B)補修可能は数十枚単位でしたら弊社で行います。洗濯ラベル、ブランドラベル付けや簡単な縫製です。数が多い場合は、店に返却して行ってもらいます。(C)は数枚程度であれば、必要コストとしてお考え頂き、ディスカウント販売して頂ければ幸いです。しかし何十枚に及ぶ場合は店に返品して交換するか、返金してもらいます。
検品した商品は、問題のない一般品と、問題があるB級品に分けて、一枚ずつ値札を付け、折りたたみ、ビニール袋に入れます。
袋詰めした商品は10枚ずつ紐でまとめてます。それをドアツードアでの輸送であれば、20キロ程度にまとめて段ボール箱に入れます。一方、船便ですと、およそ80キロほど入る大きな段ボール箱に入れます。弊社でパーッケージリストとインボイスを作成し、輸送業者から出荷いたします。。輸送は、ドアドアツードアか船便が一般的です。ドアツードアですと1キロ105ー120バーツ、船便ですと1キロ30バーツほどです。
弊社では上記の1−6をプラトゥーナム市場買い付けサポートの基本パッケージとしております。
お客様のご希望に応じて弊社が買い付けを行います。この場合、お客様のご指示に従ってサンプル商品を購入し、写真を撮影してメールで送ります。その中からお客様のお気に入りの商品を買い付けて配送いたします。サンプル商品を配送することもできます。このサービスでは、わざわざ出張コストをかけてタイに来られなくても市場の商品を購入することができます。
値札は日本からお送り頂きます。しかし、輸送費がかかりますので、数が多い場合は当地で作成した方がお得です。お客様の会社のロゴが入った値札をプラトゥーナムの印刷会社で作成いたします。
プラトゥーナムでは既製品のオーダーが主です。しかし現地のアパレルメーカーも店を出しておりますので、日本からサンプルを持ち込んで生産してもらうことも可能です。メーカー探し、メーカーとの交渉と連絡、納期管理なども行うことが出来ます。
弊社オフィスにはアパレル撮影機材がありますので、ご利用頂けます。必要に応じてファッションモデルの手配もいたします。日本の料金に比べるとモデル撮影は格安です。Photoshop、Fireworksによる写真編集、Illastratorによるチラシ、パンフレット制作も承ります。また、バンコクの印刷会社での印刷もコーディネートいたします。
弊社では、翻訳事業ユニットのアジア翻訳インスティテュートにて、タイ語を始めとしてアジア8カ国語および英語の翻訳・通訳派遣サービスを行っております。現地での高度な商談のため現地語の通訳派遣、ビジネス文書の翻訳をお得意様料金で行います。
弊社では、2012年後半から数回に渡ってミャンマーのヤンゴンを視察しております。お客様のご要望に応じて、現地アパレルメーカーの視察をコーディネートし、ご同行いたします。
日本でブランド力があったり特別な商品を取り扱っておられる場合は、バンコクでの出店の可能性もあります。その際のコンサルティング、現地パートナーや店舗探し、会社設立支援などを行います。ただし、バンコクはアパレル激戦区ですので、相当に困難が伴います。
連絡先 eメール nipponnotsubo@gmail.com
電話 (国番66)86508-8200
担当:水谷まで。
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